あなたの命、課金しますか?


【三鷹裕也を消す】


【三鷹裕也を消す】


【三鷹裕也を消す】


それはお守りだった。


罵声を浴びせられたあと、呪文のように浮かび上がった画面を食い入るように見る。


殴られた後などは、画面を見ながら眠りにつく。


【三鷹裕也を消す】


最後の切り札を今も、私は授業中に眺めていた。


今朝は登校中、無理やりキスをされて朝ごはんを全て吐き出した。


裕也は、それが分かっていてキスを求めてくる。


私をいたぶることを、心から楽しんでいるようだ。


「三鷹裕也を__消す」


小さな声で呟くと、体の底から力が湧き上がってくるような気がした。


でも、1つ大きな問題がある。


どうして直ぐに実行しないのか?どうして今もまだ耐え忍んでいるのか?心のどこかで躊躇っているから?


三鷹裕也を消すことを、躊躇しているから?


ううん、違う。


今すぐ消し去ってやりたい。


跡形もなく。


【20年】という課命。


私の寿命の残りが、20年。


つまり、三鷹裕也を消してしまうと同時に、私もこの世から消えてしまう。


せっかく裕也の居ない生活が送れるというのに、それが1日や2日じゃ意味がない。


これを行うには、下準備がいる。


そう、準備が必要なんだ。



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