あなたの命、課金しますか?


それからすぐの事だった。


私がレアガチャを引き当てたのは。


これはもう間違いない。


私の好きな人__三鷹くんに告白される。


これこそ、最もレアで貴重なガチャだ。きっと、桜庭さんに飽きたか、こないだの遊園地__お化け屋敷で抱き締めあった時から、私を意識し始めた。


私が彼を、ずっと気にしていたように。


授業が始まっても、三鷹くんを目で追ってしまう。


一体、いつだろう?


休み時間?放課後?


今か今かと待ち構えているうちに、下校時間になった。


三鷹くんはさっさと教室から出て行ってしまう。


これからサッカー部の練習なんだろう。


しかし、その時はいきなりやってきた。


「葉月、ちょっといいか?」


出て行ったはずの三鷹くんが、教室の入り口から私を呼んでいる。


間違いない。


とうとう告白される時がきた。


桜庭さんには悪いが、私の方が三鷹くんを幸せにできる。


絶対に‼︎


今にも破裂してしまいそうな胸の高鳴りをおさえ、笑顔で駆け寄った。


三鷹くんはストレートに言う。


「好きだ」


「私もずっと前から好きだった」


少しはにかんで、そう答えよう。


告白シミュレーションを脳内で成立させた私は、彼の胸に飛び込まんばかりに教室を出た。


「じゃあな」


なぜか三鷹くんが、軽く手を上げて行ってしまう。


代わりに私を待っていたのは__。



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