イジワルな彼は私を溺愛しています
「ちょ、ちょっと待って下さい!!」

有紀が後ろから追いかけてきた。

「何」

冷ややかな口調で言った。

「私の秘密教えます」

有紀はもうしょうがないという感じだ。

「和海は腐女子って知ってますか」

はあ??

腐女子?

というかそれが有紀の何に関係する?

頭の中は?でいっぱいになった。

「分かりませんよね。まあ、BL漫画を読む女です」

「BLって男と男のやつか?」

「はい。それで……」

有紀が言いよどんだ。

その顔を見て分かった。

「私は俗にいう腐女子なんです」

……有紀は腐女子だ。

そんなことを隠してたのか。

よく考えてみれば有紀が赤面したのは俺と潤がいた時だし、さっきもじゃれ合う男どもを見てた時だ。

つまり、俺が妬いた相手は野郎二人ってわけか。はっきりいって笑えねぇ。

「和海、これは秘密です。まだ誰にも言ってないのに……」

はあーとため息をつく、有紀。

「へー、じゃ二人だけの秘密だ」

誰にも言ってない有紀の秘密を知った。

こんなんで機嫌が直るなんて我ながら単純だ。

「俺の秘密も教えようか」

「秘密?」

「俺、有紀のこと好き」

有紀の顔は驚きが浮かんだ。
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