イジワルな彼は私を溺愛しています

教科書

「おはよう」

「あっ、有紀会長とのデートどうだった?」

亜矢は私を見つけるとすぐに来た。

その声にクラスの視線が集まる。

「後で話すから」

私が目で周りを見ると亜矢は「ああ」といって話題を変えた。

この頃女子からいじめられるようになった。

正確には和海が午前の授業を私の隣の席でサボってからだ。

「うわー、有紀大丈夫?」

「これは酷いね……」

落書きされ私の教科書を見て亜矢と紗知が心配してくれる。

書いてあることは毎回決まって和海と別れろだ。

「ねぇ、会長に相談したら?」

「いいよ、別にたいしたことじゃないし」

「でも、有紀ちゃんの教科書とかどうするの?」

「使えないわけじゃないんだから大丈夫」

「そんなこと言ったって……」

「本当に大丈夫だから」

「有紀ちゃんがそう言うならいいけど……。ちゃんと相談してね」

「紗知の言う通りだ!私達にいつでも相談すること」

こういう時私は友達がいて、つくづく幸せ者だと思う。

「うん、分かってる」

チャイムが鳴って席に二人は座った。
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