イジワルな彼は私を溺愛しています
恋と嫉妬

自覚

「好きって何?」

私は昼休みコンビニのパンを食べながら二人に聞いた。

「有紀、いきなりどうしたの?!」

屋上でも亜矢の声はよく通る。

「ちょっと声落としてよ」

「会長に言われたの?」

「そう。私告白されたけど返事をしてなくて」

「「えええええええぇぇぇぇぇ!!!」」

亜矢と紗知が叫んだ。

「そんな話聞いてないよ!」

「そうだよ。有紀ちゃん教えてくれれば良かったのに」

「ごめんって。で、好きって何?」

「うーん。私はその人の存在が自分の中で大きくなってきて、自分だけをみてほしいって思ったり、一緒にいたいって思ったりすることじゃないかな…」

紗知が顔を赤くしながら言った。

「もしかして、紗知好きな人いるの?」

私はすぐさま聞いた。

「う、うん。宮沢君が…」

「え?あいつ?」

亜矢が信じられないという感じで言った。

「あいつ血も涙もないような性格してるくせにいちいちこっちの事情に踏み込んでくるじゃん。私はあーゆーの無理だなぁ」

「そ、そんなことないよ。私が困ってるときたすけてくれるもん」

「そう?まあ、何かあったらすぐ私達に言うのよ」

「うん。ありがとう」

紗知はにこっと笑った。

「それで、好きの話だったよね」

亜矢が話題を戻した。

「私は、ずっと一緒にいたい人だと思う」

「なるほど…」

一緒にいたい。この感情はある。
今だって同居生活が終わってしまうのがさみしいと思ってるから。

「有紀、今日の放課後ダンスの練習だから忘れないでよ」

ダンス…文化祭のやつか……。

「文化祭っていつなの?」

「9月17日。夏休み終わったら皆部活の出し物で忙しくなるから今のうちに練習しとくんだって。有紀はセンターなんだから頑張りなさいよ」

「はいはい」

私はノリ気にはなれなかった。
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