甘い運命

1-22

時間も迫ったので、今日の夜また話そうということで、修一さんは一足早く家を出た。

私も急いで準備をしながら、つらつらと考える。

修一さんの机の上に、私の『不倫もしくは浮気』と思われる、写真。

つまり、修一さんの会社に出入りできる人が、おそらく私と修一さんが恋人関係にあると思い、その仲を壊そうとしてこんなことをした、と考えるのが自然。

犯人は、修一さんに片思いをしている人、もっと軽くてファン…かな。

私風情が隣に並ぶなどおこがましい、許せない、といったところか。

思いついて、胸がズキンと痛んだ。

そんなの、言われなくても分かっている。

修一さんが認めてくれている私も、『女として』ではなく、『人間として』のものだし。

……心配しなくても大丈夫ですよ。
間違ったりしません。

ふう、と息をついて、私は駅に向かうべく部屋を出た。

大丈夫、大丈夫。
何に対してそう思っているのかわからないまま、私はそれを呪文のように唱え続けた───
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