甘い運命
おまけ2

1

次の土曜日は、修一さんの実家に挨拶に行った。

緊張でガチガチになっている私を、修一さんのご両親と弟さん、妹さんは暖かく迎えてくれた。

暖かく…いや、『大歓迎』だ。

「俺、兄さんは結婚しないと思ってた。
義姉さんはすごいな!」

「あたしもそう思ってたよ!玲兄!
お義姉さん、ありがとう!!」

着いたとたん、修一さんを押し退けて、弟さんと妹さんにそれぞれ手を握られ、ぶんぶん振られる。

驚き固まる私の手と弟の玲二さんの手をひっぺがし、機嫌悪そうに修一さんが口を開いた。

「玲、触るな!」

ドスのきいた声に、弟さんと妹さんは勿論、ご両親も固まる。

ヤバい、変な雰囲気だ。
慌ててこの空気をどうにかしようと口を開きかけたところで、弟さんがボソッと呟く。

「嘘だろ……修兄が嫉妬してる………」

後ろでこくこく頷いているご両親と妹さん。
まるでオバケでも見ているような眼差しだ。
私は修一さんの方に視線を向ける。

──しまった、という風に右手で口元を押さえて、そっぽを向いている。
頬と耳が少し赤い。

何だか私も恥ずかしくなって、俯いてしまった。
顔が熱い。私もきっと、赤くなっている。

「─っもういいだろ!中に入るぞ、都!」

私の手を引いて、修一さんが家の中に導く。
ぐいぐい引っ張るので、靴を揃えることすらままならず、そのままリビングへ。

後ろを、珍しいものを見る眼差しでついてくるご家族。
……こ、こんなものなの?!

ソファーセットの所で何とか手を離してもらい、手土産のタルトを渡すと、お母さんは嬉しそうに受け取ってくださった。

「まあ、都ちゃん!気を遣わなくて良かったのに!
でも折角だから、皆でいただいちゃいましょ。
コーヒーで良かったかしら?」

軽やかに台所に立つお母さん。

あわただしかったので、今改めて気がつきましたが!

──美形家族です!!
予想の範囲内でしたがね!

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