じじぃのぼやき
第3章「さらばじじぃよ」
「まさに、
 じじくさいと
 思うじゃろうのぅ。

 じじぃは、
 縁側とお茶が
 大好きじゃ。

 自分も
 景色の一部の様に、

 そこにおるんが
 大好きじゃ。」

「どこにいようと、
 どこへ行こうと、

 おまえさんは
 おまえさんじゃ。

 流されん様、
 踏張らんとな。

 しっかり、
 両足、地につけて、
 力強く立つ。

 そんな
 おまえさんが、
 
 じじぃには
 見えるようじゃ。」


「どうした、若造、

 それで
 終わりか?

 終わるんか?

 そこで
 終わるような、

 おまえさんじゃ
 なかろうて。」


「世の中は、
 よう出来とる。

 ズルや悪さをせんと、
 頑張っとったら、

 おびえる事は
 無いんじゃよ。」


「戦争の
 傷あとの話じゃよ。

 じじぃには、

 ボケても、
 死んでも、

 忘れるつもりのない
 友の顔がある。」


「昔はの、
 欲しいもんは
 なんにも
 手に入らんと
 思うた事もある。

 今、思うとな、
 
 大事なもんは全て
 
 手に入れとったと
 そう思える。」
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