ダドリー夫妻の朝と夜
「他には? 君の希望を教えてくれ」

「もっと近くで、お喋りできる距離で食事をしたいの。その、話しているのはわたくしだけだとしても」

「君の話は、きちんと聞いている」

「ええ、それを疑ったことはないわ。でも、もっとあなたのお話も聞きたいの」

「善処しよう」

 アーサーは、エミリアが体からゆっくりとシーツを剥がしていく。そうしながら、そこここに口づけていく。

 両手をカップで塞がれたエミリアは、耳を苺色に染めながらも、止めることができなかった。

「あの。アーサー様、おやめになって」

「嫌だと言ったら?」

「え?」


 ついにエミリアの全身が、アーサーの前に曝け出された。

 アーサーは横からエミリアを抱え、朝日に照らされた白い裸体をそっと撫でた。

 それだけで、昨夜の余韻をたっぷりと残したエミリアは、敏感に反応する。紅茶が跳ねて、エミリアの指を濡らした。

「ごめんなさいっ」

「火傷は」

「いえ、ちょっとだけですから」

 アーサーは素早くティーカップを奪い、サイドテーブルへと戻した。

 そして、濡れたエミリアの手に舌を這わせた。

「あ、アーサー様っ!?」

 アーサーは紅茶を舌で舐め取ると、エミリアの人差し指を口に含んだ。指先からつうっと舌でなぞり、全体をねっとりと包み込む。

 ぞわぞわとした感覚に苛まれて、エミリアはくぐもった声を上げた。

「あ……アーサーさま、もうだいじょうぶですわ」

「そうか?」

「ええ、ん……どうか、もうおやめになって」

 体がざわざわと落ち着かない。

 無意識に腰を揺らすエミリアをしばらく観察した後、ちゅぽんと音を立てて、アーサーは指を引き抜いた。


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