もしも明日世界が滅びるとしたら
あなたと共に
「もしも明日世界が滅びるとしたらどうする?」
彼女がそんなことを聞いてきたのは、夕食を終えて二人でソファーに座ってまったりしていた時。
そこそこ大きいはずのテレビの音が遠くに聞こえるほど、彼女の一言は衝撃的だった。
「……急にどうしたの?」
ああ、今自分の顔引きつってるだろうな、なんて頭のどこかで考えながらなんとか笑顔を作る。ただの興味に過ぎないのなら、無駄に反応するわけにもいかない。
隣に座った彼女は少し逡巡した後、「えへへ、なんとなく気になっただけ!」と笑った。いつもと変わらない無邪気な笑みだ。
そんな態度に、俺は心の中で深く息をつく。
知られたのかと思って焦った。
知られても仕方がない。隠してる方が罪深い。そんな秘密を俺は抱えているのだ。
知られてしまったらそのときはもう仕方がないけれど、わざわざ教えたりなんてしたくない。