ヴァンパイアの花嫁
毛皮のシートが敷かれた場所へ降ろされると、膝の上にも毛皮のショールをかけられた。


「そんなに寒くありません。レオンも……」


自分ばかりが毛皮に包まれているのに、レオンは黒のロングコートを羽織っただけだ。


隣に座ったレオンに言う。


「ティナ、私はヴァンパイアだ。寒さは感じない」


「知らなかった……です」


あたしはレオンのこと、まったくと言っていいほど知らない。


「レオン?これからレオンのこと、たくさん教えてくださいね」


先ほど沈んでいた顔が無邪気な笑顔になった。


「私のことか……なんでも聞くといい」


ティナの笑顔が消えないように答えたレオンだった。





< 291 / 487 >

この作品をシェア

pagetop