緋色の勇者、暁の聖女
「しっかりしろ! ミュール! お前は死んだらだめだ! ミュール!」
「あの、ひと、を……たすけ、………………」
……ミュールさんは、最後まで言葉を続ける事は出来なかった。
閉じられた瞳。
力の抜けた手。
顔色は血の気を失って白い。
そのどれもが、ミュールさんが逝ってしまった事を示していた。
「――――ミュール!」
部屋の中には、ジャンさんの悲しい声が響いていた。
◇
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