Sweet break Ⅲ
『おい、倉沢!』

関君の声に、我に返ると、直後に足元を小さな子供が走り抜ける。

『わッ』

幸い当たらずにうまくすり抜けていった子供達に、ホッと胸をなで下す。

『こういうとこは、子供が多いんだから、ぼーっとしてるなよ』

関君に注意され、気持ちここに有らずだった自分を反省。

『…ごめん、気をつける…』
『やけに素直だな?』
『別に…』

言ってから少し、ふてくされた言い方だったかなと、関君を見たら、別段気にするそぶりもなく、視線はすぐ先の広場の方を見やってる。

『それより、いい加減腹減ったし、どっかに落ち着いて、コレ食わせろよ』

お弁当の入ったトートバックをかかげ、にやりと笑いながら『相当、美味いらしいしな』とプレッシャーをかけてくる。

そうよ。

今日の私には、秘密兵器(手作り弁当)があった。

『望むところよ、美味しすぎてびっくりしないでよ』

現時点で、未だに明確な進展のない自分達にモヤモヤしている自分とは違い、なぜか余裕ぶってる関君に、今日一番の勝負を挑むことにする。
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