きみが青を手離すとき。



「お前、ずっと眼鏡外してれば」

「え?」

地味で冴えなくて、偉そうな前田は嫌いだ。

でも昨日みたいに俺の洋服を小さく掴んで付いてくる前田や、眼鏡を取られて泣きそうになってる前田は、嫌いじゃない。


「そのほうが可愛いよ」

すると、前田は熟した林檎のように顔が赤くなって「か、返して!」と、無理やり俺の手の中の眼鏡を奪う。


「からかうと怒るからね!」

眼鏡が戻った前田はまた赤さが消えて、青い林檎みたいに酸っぱくなる。

でも、それも悪くねえなと思ってる俺は一体どうしてしまったんだろうか。

まさか、昨日食べたのは毒林檎だったりして?

そんなバカなことを考えつつも、なんだか答えを出すのは面倒くさそうだから、俺は再び横になる。


「一緒にサボってくれたら、また世話しながら帰ってやってもいいよ」

最近運動不足だと思ってたし、遠回りするには丁度いい。


「は?なんで上から目線なわけ?」

「だって、お前、俺のこと好きだろ」

「なっ……」

ほら、次は赤。


なんだか、ころころと色を変える前田が面白すぎて、苛立っていた青すぎる思春期なんて、どこかへ飛んでいった。




【きみが青を手離すとき。 END】


< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:8

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

世にも奇妙な買取屋

総文字数/19,681

ホラー・オカルト16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 闇闇商店街にある、世にも奇妙な買取屋  そこにはイチカ♦️とニカ♣️という双子がいて  奇妙な話を買い取ってくれるらしい ♦️「奇妙な話ならなんでもオッケー!」 ♣️「でも、一度買い取った話は僕たちのもの」 ♦️「記憶から消えちゃうから、本当に売りたい人だけ利用してね!」 ♣️「今日はどんな奇妙な話に出会えるかな?」 ♦️「考えただけでワクワクしちゃうわ♡」 ♣️「あ、ほら、お客さんが来たよ」 ♦️「いらっしゃいませ! あなたの奇妙なお話を聞かせてください」
こわいテスト〈社会〉

総文字数/2,818

ホラー・オカルト10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
こ わ い テ ス ト (10問)
こわいテスト〈理科〉

総文字数/5,791

ホラー・オカルト17ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
こ わ い テ ス ト (15問+α)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop