シェヘラザード、静かにお休み

森とは違って汚れた空気を肺に一杯入れて、空を見上げた。
もうすぐ暑い季節がやってくる。

「ここから王女を捜すってことね」

どこから行く? と言って歩き出そうとするシーラの肩を捕まえる。

「ちょっと待て。これ持っていてくれ」

ルイスはシーラの首にストラップをかけた。
その先にぶら下がるのは、簡易携帯。

「もしも一人になったとき、それがあったら連絡できる」

「私が逃げ出さないように?」

「俺は予言できる、お前は絶対に一人で勝手に行動する」

そう言われて、シーラは分かりやすく唇を尖らせた。

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