シェヘラザード、静かにお休み
「私語は許可してない」
「良いでしょう、どうせもうすぐ死ぬのだし」
この牢は、一番罪の重い者が入れられるもの。男も囚人もそれを知っていた。ここへ入れられて、生きて外に出た者はいない。
「きちんと食事を取れ」
「あなたの名前は何というの?」
「おい」
「私はシーラ」
きゅっと青い目が細くなる。
シーラは笑っていた。この状況で。
そして、未だに手を付けられていない食事。
「交換条件がある。食事をすることだ」
「イエス」
右手を上げるシーラを見て、男は椅子に腰掛けた。
「ルイスだ」