Parlez moi d'amour

あのとき

彼に優しく抱かれながらうわごとみたいに何度も何度もこぼれ落ちた私の言葉を、彼はひとつひとつ拾って丁寧に 「うん」 と、小さく返事をしてくれた。

それでも、彼からの言葉はなくて

それでは物足りなくて。

寂しくて

別れ際 、最後にもう一度「愛してるわ」 と言ってみた。

彼は私の言葉にとても嬉しそうに笑って、ゆっくり私の髪を撫でてくれた。

けれど耳元で小さく 「知ってる」 と返してくれただけだった。

また離れてしまうから 、彼からの言葉が欲しかった。

最後に強く抱き締めて欲しかった。

でも、いい歳をしてそんな催促をするのはみっともない気がして

それ以上の言葉は飲み込んでしまった。

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