ドクター時任は恋愛中毒
カンファレンスの内容があまりに畑違いな場合、栄養部にとっては退屈なものだろうと共感することもできたが、糖尿病や腎臓病といった、彼らに必要不可欠な情報を扱っていたときですら、彼女はこっくりこっくり舟を漕いでいた。
あまりにそれが続いたためつい目に余って、俺はある日のカンファの後で、持ち場に帰る途中の水越とその先輩栄養士に声を掛けた。
「コイツ、参加する意味があるのか?」
正面から嫌味をぶつける俺を、先輩栄養士はキッと睨みつけた。
「時任先生、水越さんは、ご家庭がいろいろ大変で……!」
「いいんです先輩、悪いのは、私ですから……」
「水越さん、でも」
「今は、管理栄養士もチーム医療に参加する時代です。私も、時任先生をはじめとする先生方と対等に意見交換をしながら患者さんの役に立てる管理栄養士になりたくて、ここに来ました。そのためにカンファレンスにも参加しているのに、居眠りなんて……先生のお叱りは当然です」
水越は、殊勝な素振りを装っているわけではなく、本当に反省しているようだった。目の端は泣くのを堪えているように赤く、悔しさに唇を噛んでいる。