白き竜の語り部
 肩までの艶やかな髪はシルヴァブロンドとでも言うのだろうか。少しの風になびくほど細く、なんとも優美である。エルフにさえもついぞ、見た事がない。

 しかれど、我が魅せられたのは何よりもその瞳である。まるで金緑石(きんりょくせき)のごとき輝きに、我の心臓は高鳴ったのだ。

 連れているカルクカンの色合いも凛々しく美しい。カルクカンは多彩な表皮なれど、こやつの体色は青みがかった緑色が見事である。

 人間は我を見てカルクカンから降り、我の返答を待っているようだった。これは面白い。

 我の遊び心がくすぐられた。ここは一つ、問答といこうではないか。

[そなたに問う]

 おや。問答だと知って多少は驚いたようだ。我が人語を解することも驚きであろう。逃げれば我の炎の息(ブレス)でその身を焦がしてやろうぞ。

[憎しみとはなんぞや]

「己で突き立てた杭(くい)だ」

[ほほう。そのこころは]

「苦しみはときに自身で抜くことも出来る」

 なるほど。よくも考えた。

 されど、これで終わりではない。
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