近づいてよ
言えよ
寂しいなんて……言えないじゃない恋人でもないのに

ましてや……彩香ちゃんと結婚しないでなんて

(言えるわけがない…)

そう思って俯いていると

「美空……」

光の声がしてゆっくりと顔をあげた

すると…今まで見たこと無い位優しい顔で
こちらを見つめている光の綺麗なグレーの瞳と視線がぶつかった

(息が止まりそうだ…)

「……な、に?」

ドキドキして言葉に詰まると…光が目を細めて

「あのさ…オマエ、オレのこと好きでしょ?」

とんでもない言葉を返した……

「…え……?」

……驚きすぎて何も言えずに固まっている私を見下ろすように光は顎を上げてから満足そうに微笑むと
手にしたお皿をカタンっと棚に戻して首を傾げながら近づいてきた

「……言えよ…」

「あ……の」

言葉が上手く出てこないけれど

沈黙が居たたまれなくて、手にしていたカップを意味もなく握りしめた

(言えるわけないじゃない……)

すると距離を詰めてきた光が私の手からカップを引き剥がすように受け取ると手を引いて自分に引き寄せ

「好き……だろ?」

ぎゅうっと抱き締められて動けない私の耳に
唇を押し当てる

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