近づいてよ
それぞれの相手
もうだいぶ前から分かっていた

光は私を好きじゃない

好きではあるけれど…それは女性としてじゃなくて…
幼馴染として兄弟のように好きだってことで
私を女性としては見ていない


こんなにも近いのに触れることさえ出来ない


それに光にはもう3年になる彼女がいた

私も共通の知り合いのすごく美人の彩香ちゃん


「ねぇ美空ちゃん…もうすぐ私、光と結婚するの……ほら」


「あ……そうなんだ」

つい先日カフェにいると偶然会った彩香ちゃん
相席しようって言われて向かいあったテーブルで

嬉しそうに指に嵌めた指輪を光に翳した彩香ちゃん

「お祝いしてくれる?」

綺麗な口許を三日月の様にカーブさせて
彩香ちゃんは微笑む

すごく綺麗だって思った

悔しいけど、彩香ちゃんに私は敵わない……

だからその笑顔に思わず

「ん、もちろん」

と、笑顔で答えた自分がいた

(情けなくてイヤになる……)


何度か2人で居るところを見かける度に涙が出そうだった

あんなにきれいなら仕方ないって思うのに
諦められなくて

いつか光は私を好きになってくれるんじゃないかって
考えてた

でも……結婚するなら

いい加減この片想いは終わらせないと、そう思った

(不毛すぎるもの…)

< 9 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop