楔~くさび~

裏切り



コブクロの「赤い糸」を聞いていた。


寂しかった。


そんなときに電話が鳴った。


「もしもし?」


「あっ、ヒカリさん?」


あたしの付き人兼スタイリストの男の子から。


「何?」


「ボク、見ちゃったんですよ。話していいのかわからないけど・・・」


「何を?」


「ヒカリさんの衣装を調達しに表参道に行ってて、そしたらヒカリさんの彼氏が」


「え?マオ?マオがどうしたの?」


「チサさんと一緒にいました」




・・・・えっ?何それ。チサと一緒?どういうことよ?


「それ本当なの?」


「本当ですよ。腕を組んでて」



頭の中で何かがプツンと音を立てて切れた。



「もういい」


「あ、ヒカリさん・・・」



即電話を切った。



チサの何か言いたそうだった顔はこのことだったんだ。


じゃあ、お母さんが病気っていうのも嘘?全部嘘なの?


一晩中泣いた。


電話には一切出なかった。


インターホンが鳴っても出なかった。


翌日は仕事が休みの日だったから、ちょうどよかった。


泣き続けて腫れてしまった目に冷却パックをつけて、1日中ぼんやりと過ごした。



うそつき。マオのうそつき。

< 34 / 40 >

この作品をシェア

pagetop