〜starting over〜
噂では、学校の女子の大半をくったとか、同クラの女子は制覇したとか。
そんな話も聞こえてくる。
見えない部分の数までは把握出来ないけど、流石にそこまでは、とは思いたい。
1度でいいからっていう女の子も多いって聞くし。
もう!
この学校の貞操観念はどうなのよ!
周りから面白可笑しそうに報告される事もあって、正直、心が折れそうになる。
こんな男なのに、一緒に居ると好きだなって……ってしまう私も馬鹿なんだろうな。
こうなる前は楽しかったな。
一緒に登下校するだけで楽しかった。
他愛もない会話や、友達も交えて出掛けたり。
それだけで楽しかったのに。
どうして、こうなってしまったんだろう……。


真輝は1-Eへ。
私は1-Aへと其々の教室に入ると、クラスメイトの好奇な視線が突き刺さる。

「浮気性な旦那を持つと、嫁は苦労するね~」
「今度は2年の加奈子先輩だって?」

男子が言うと、女子が小さく嗤う声と諫めるフリをする声とが聞こえてきた。
この人達、絶対楽しんでる。
イライラしていると、肩に手が置かれた。

「杏、気にするな。真輝は今ただ病気にかかってるだけたから」

中学からの友達で、真輝の親友の島田君が言った。

「その病気が治る薬があるなら、是非ともアイツに飲ませてやりたいわ」
「……いつか必ず治るはずだから」

島田君はいいやつだ。
真輝の行動に心を痛める私をいつも励ましてくれる。
島田君は見た目普通なのに、パソコンオタク?的なところがあって、自分でゲームとか作ったりするのが趣味なんだとか。
一度、興味本位に本人に訊ねた事があるんだけど、説明されてもさーーーーっぱり意味が解らず。
とりあえず、難しい事が好きなんだと理解する事にした。
ツンツン頭が特徴で、毎朝頑張ってヘアセットをしているらしい。

「杏、おはよ。今朝も朝から大変だったね」
「玲奈……おはよう」
「まぁ、朝の日課みたいなもんだと思って……」
「それ笑えない」
「……だね。じゃあ、帰りにカラオケ行こうよ。ストレス発散!それとも今日真輝君と帰る?」
「ううん、今日真輝バイトだって」
「そっか。じゃあ大声出しに行こう」
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