イジメ返し3
西園寺カンナサイド
【西園寺カンナサイド】

「待ってなくていいよって言ったのに~!」

美波の家を出ると、玄関の外にはソワソワと落ち着かない様子の桃ちゃんが立っていた。

「桃ちゃん、行こう。警察がくるのも時間の問題だから」

カンナが歩き出すと桃ちゃんもついてくる。

「……カンナちゃん……」

「まったくもう~!桃ちゃんは泣き虫さんだなぁ」

今にも泣きだしそうに潤んだ目でカンナを見つめる桃ちゃんにそっと微笑む。

「全部……終わったの……?」

「カンナのイジメ返しはもうおしまい。もう誰かを傷付けることはしない」

「本当に?」

桃ちゃんの言葉にうなずく。

「もちろんだよ~!桃ちゃん、ありがとう。カンナのイジメ返しをとめないでくれて。桃ちゃんが色々な人にバラしたら成功しなかったかもしれないもん~!ホント、感謝してるよっ!」

桃ちゃんはずっとカンナにイジメ返しをやめるように説得した。

『美波ちゃんたち家族への一番の復讐はカンナちゃんが幸せになることだよ』

そう言ってくれた。

だから、逆にお願いした。

桃ちゃんの優しい気持ちをカンナは利用したんだ。

『桃ちゃん、言ってくれたよね?今度は私がカンナちゃんを助ける番だよって。だから、お願い。カンナを助けると思って美波ちゃんにされたことを話して?』

カンナが転校してきてから美波が桃ちゃんへ何らかの危害を加えるだろうという予想はついていた。

カンナが必死に頼むと、桃ちゃんは全てを話してくれた。

美波が桃ちゃんの家にやってきて、美波の家を勝手にカンナに教えたことに怒ってその代償に裸の写真を撮られたこと。

両親の寝室からお金を取られたこと。

毎月数万ずつお金を渡さなければネットに動画や写真を拡散すると脅されたこと。

もしもそれを警察や家族やカンナに話したら、もっとひどいことになると脅されていた。

その動画や写真は美波が保健室にいる間に消去しておいた。

動画や写真は見るに堪えないものだった。

嫌がり泣く桃ちゃんの制服を無理やり脱がせていた。

途中までしか見ていられなかった。

カンナが転校してこなければ桃ちゃんが美波に傷付けられることもなかっただろう。

罪悪感で胸が痛む。でも、もう終わり。すべてを終わらせる。

負の連鎖を断ち切れるのはカンナしかいない。
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