イジメ返し３
「――おい、デブ！お前くせぇんだよ！」

廊下から誰かの怒鳴り声がする。

顔をあげると、廊下にいたクラスメイト達が一斉に教室の中に飛び込んでくる。

その中には男子の姿もあった。

気になって廊下へ向かおうとしたとき、クラスメイトの大人しい女子がカンナの腕を掴んだ。

「西園寺さん……廊下には行かないほうがいいよ」

「え？」

「渡辺翔平に目をつけられたら終わりだから」

「翔平君って美波ちゃんの彼氏だよねぇ？」

「……そう。あの二人には絶対に関わらないほうがいい」

廊下に視線を向けると、翔平が廊下に座り込んでいる太った男の子の背中を蹴り上げているところだった。

「ありがとう。でも、カンナなら大丈夫だから」

カンナは微笑みながら、女の子の手をそっと自分の腕から離した。

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