敏腕メイドと秘密の契約
レセプションパーティが始まる頃には、新たなコンピューターと周辺機器が設置され、テスト作動も済ませることができた。

今回のプレゼン時にパソコンを操作する予定であったスタッフは、今回の首謀者との関係性を否定するために、三浦HS弁護士である三浦英樹に事情を説明するため、別室に連れていかれた。

秘書の木村(藍)は別件で遅れてくることにしてあるが、プレゼンが終わるまでは、ステージ裏のパソコン操作室に籠ることになっている。

その扉の前には、三浦HSのBG雄貴が待機している。

パーティ開始時間となり、司会者から倉本システムエンジニアリング株式会社の紹介が始まった。

続いて、社長である倉本隼人からお礼の挨拶があり、

専務の乾杯の音頭でレセプションパーティが幕を開けた。

会場のあちこちに商品を紹介するブースが設けてありどこも盛況だ。

もうすぐ、副社長である天音からの新商品のお披露目が始まる。

ここまで何とか持ち直してきたが、どこから横やりが入るかわからない。

緊張した面持ちで天音はその時を待った。


しかし、そんな緊迫した状況とは裏腹に、

とても呆気なく、

大盛況のもと新商品のお披露目は終わった。


"犯人の意図が見えない"
ただの愉快犯にしては質が悪すぎる。

プレゼンが終わると、ステージ裏のコンピュータ操作室の片付けを三浦HSスタッフに委ねた、副社長第2秘書の"木村(藍)"が会場にいた天音に声をかけた。

「遅れて申し訳ありません」

「いや、突然依頼した仕事に対応してもらって助かったよ。その様子だとうまくいったようだな」

副社長の隣に立つ第1秘書の田之上も

「木村さん、お疲れ様。」

と挨拶してきたものの、それ以上、突然の"木村"のパーティ離席について追求してくることはなかった。

それから3人は、プレゼンに興味を示したゲストからの質問に答えながら、レセプションパーティの終了まで笑顔で接待を続けたのである。
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