イジワルな彼は私を溺愛しています ②

「お嬢様お乗りください」

後部座席のドアを開けて私に向かって一礼している。

「………」

こんな事は初めての私は固まるしかない。

隣の和海は私をつついてきた。

「乗らないのか?」

和海の言葉で我に返る。

「あ、ああ。そうだね」

頭を下げたままの執事さん(運転手さん)に軽く礼を返して、車に乗った。

シートは座り心地がいいし、車内は広い。きっと高級車だろう。

和海も乗り込んで、車が出発した。


「ご到着しました」

車が止まったのは大きなホテルの前だった。

こんな所は生まれて此方来たことない。

「ありがとうございました」

私は運転手さんにそう言って車から出た。

「本当にここなの?」

このホテルの中にはシャンデリアに、レッドカーペット。

見たこともないような高級感漂う空間だった。

ホテルのスタッフが案内をしてくれているが、私はだいぶ遅れてキョロキョロと周りを見ていた。

「こちらです」

スタッフが綺麗に腰を折って、私の前のドアを開けた。
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