極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
第六章/アンバランス


彬良くんが、ニューヨークに赴任するかもしれない。
一度聞いてしまうと、それはなぜか決定事項のように思えてきた。

そうなってしまったら、わたしはどうすればいいんだろう。もちろん大好きなひとと離れたくない。

東京—ニューヨーク間。飛行機でも12〜13時間かかる。会いたくてたまらなくても、簡単に会える距離じゃない。
ならば彼に付いてゆく? なんのために?

英語もできないのに、向こうの会社にわたしのポストなんてあるわけがない。彬良くんにおんぶに抱っこで暮らすんだろうか。
足手まとい、お荷物という言葉が頭に浮かぶ。

そんなの、ダメだ。

でももし、もしだけど、彬良くんがわたしを見放せなくてニューヨーク赴任を断るようなことになったら。
わたしは彼にも会社にも、迷惑をかけることになる・・・

佐伯彬良という、多くの責務を負うひとと付き合うことの重みを、わたしは初めて思い知った。
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