極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「ああ、そよかに会社を辞めて、俺と結婚してニューヨークに行くという選択をさせないために。佐伯彬良のおまけ入社と嘲ったんだ」

その説明は腑に落ちた。
わたしにだって、ちっぽけなプライドがある。コネだとバカにされて、逃げるように会社を辞めて、彬良くんと結婚してニューヨークに行って———それでなんになるんだろう。
仕事から結婚に逃げたという挫折と敗北感を抱えて、言葉の通じない地で、彬良くんにぶら下がって暮らすしかない。
三崎さんは、そこまで計算していたというのか。

「・・・その頭を、もっと別のことに使えばいいのに」

「たしかにそうだな」
彬良くんが小さく笑う。
ふっと表情をゆるめて、「今日はもう風呂でも入って休んだほうがいい。いろいろあって疲れただろ」

「う、ん。ごめんね彬良くん、わたしのせいでいろいろ・・・」
彬良くんに迷惑をかけてしまっていることは、事実だ。

そよか、と彼がさえぎるように言葉を重ねる。
「今夜は別々に寝たほうがいいと思うんだけど」

「うん」こくんとうなずく。
眠れない夜は、お互いひとりのほうがいい。
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