極甘同棲～エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

「はぁー、なかなか “王子” を落とせないんだよね」
ため息まじりだけど、美人はそんな姿もサマになるし、言葉ほど憂いているってわけでもない。

「さすが王子、鉄壁だね」
VMD（ビジュアルマーチャンダイザー）の早坂美奈さんが、うむむという表情でつぶやく。

王子のことになると盛り上がりやすいから、北川さんもサービス精神でよく話題に出している。

落とす、といっても恋愛がらみの事情というわけではなく。
王子こと佐伯彬良（ｻｴｷ ｱｷﾗ）は、我がEureka（エウレカ）株式会社で、誰もが認めるエリートなのだけど。

この二ヶ月ほど、北川さんは王子に雑誌の取材を受けてもらおうと交渉しているけど、取り合ってくれないのだとか。

「『bébé』の編集さんなんて、佐伯さんの取材させてくれたら、Eurekaさんの特集ページ作りますよ〜なんて言ってくれてるのにぃ」
北川さんが、くちびるをとがらせる。

「ひえ〜、あの雑誌で特集してもらったら、どれだけ宣伝になるか」
北川さんと同じプレスの瀬尾香織さんの声が高くなる。