極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
長めの前髪が、さらりとひたいに落ちて。
そのすぐ下には、睫毛に縁取られた切れ長の瞳がある。そこからこちらへ投げかけられる視線は、ときに甘くてときに鋭い。

その姿は、子どもの頃から遊んでもらった彬良くんのはずなのに、見知らぬ男性のようでもあって。胸がざわめく。

こうして照明を落とした店で、ドレスアップしてお酒を飲みながら話をして———

大人になったんだな、わたしたち。その事実が不意に胸にしみた。

「そよかもチームの人たちとうまくやってるみたいじゃん」

「うん、みんないい人たちだから。それになんていうか、尊敬できるの。自分の仕事が大好きで誇りを持ってるところが、カッコよくって」

「アパレル業界は、女性が主役ってところがあるからな」

ようやく会話が流れに乗ってきた。

メインの前の仔羊のラグーソースのパスタをフォークに巻きとって、形が少し変わっていることに気がついた。
「手打ちパスタなのかな」

「キタッラっていうパスタだよ。イタリア語でギターっていう意味。薄くのばした生地を、弦を張った道具で押し切って作るんだ。だから断面が丸じゃなくて四角くなる。食感がちょっと違うよな」

なんでも知ってるなぁ、彬良くんは。
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