藤堂さん家の複雑な家庭の事情

通例行事②

我が家に住んでる家族の構成が、「一般的」という言葉からほんの少し離れていたとしても、あたしに任された家事は一般的な家庭の主婦がやるそれと変わらない。


琢が幼稚園に、藍子が高校に行ってから、まず4人分の洗濯を始める。


洗濯機を回してリビングに戻ると、兄が食卓で前日の店の売り上げを計算してるから、面倒臭いコーヒーサイフォンでまた珈琲を淹れて、兄が寝るまでに藍子の部屋の掃除を終わらせる為、2階に上がる。


2階にあるのは3部屋。


離婚して家に戻って来た時、唯一変わっていたのは2階の部屋の使い方。


いつからそうなったのか知らないけど、元々兄の部屋だった2階の一番奥の――2階にある中で一番広い――部屋が、藍子の部屋になっていた。


正確に言えば、藍子と兄の部屋って事になる。


以前は一番手前だった藍子の部屋に、今は兄の私物が置いてあるけど、兄が使ってたベッドは一番奥の部屋に置かれたままで、兄はそこで寝起きしてる。


今、一番手前の部屋は時々惣一郎が泊まった時に使ってる。


将来的には琢の部屋になるらしい。


そんな訳で、兄が寝るまでに藍子の部屋の掃除を済ませ、終わって階下に下りて行くと、交代に兄が寝る為に2階に上がってく。
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