藤堂さん家の複雑な家庭の事情
庭だか外出先だかは分からないけど、緑いっぱいの木々を背景に、母子はこっちを向いてにっこり笑ってた。


それを見て思い出した。

ふたりが並んでる写真を見て、忘れてた記憶が蘇った。


兄に惣一郎を紹介された時、「どこかで見た事がある」と思ったのは、真実見た事があったから。


あたしは一度、父親の生前時に惣一郎と会った事がある。


あれは確かまだ小学生だった頃。


どうしてそうなったのかは覚えてないけど、あたしは父親と一緒に、惣一郎と惣一郎の母親と4人で食事をした。


その頃はまだ惣一郎の両親も離婚してなくて、惣一郎にとってその女の人は母親だった。


食事の内容とか、その時した話とか、その時会ったはずの惣一郎の母親の顔はすっかり忘れてたけど、記憶の片隅には惣一郎の顔が残ってた。


あの頃の面影がほんのりと残る惣一郎を覚えてたあたしは、だから「どこかで見た事がある」と思ったらしい。


惣一郎は、あたし達家族に対して申し訳ないって気持ちがある。


惣一郎は悪くないのに、まるで自分の責任のように感じてる。


あたし達家族が、父親が死んでしまったばっかりに、しなくていい苦労をしていると悔やんでる。
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