藤堂さん家の複雑な家庭の事情
ケーキ
藍子は特別甘い物が好きという訳ではない。
確かに嫌いではないし、あれば喜んで食べるのだが、甘い物を見ただけで妙にテンションが上がるだとか、無性に食べたくなる時があるという事はない。
が。
「あっ、ケーキだ」
期末テスト前日。帰宅した藍子が目にしたのはイチゴのショートケーキ。
食卓の上に並べられた晩ご飯と一緒に、イチゴのショートケーキが置かれている。
それを見つめていた藍子に、キッチンで洗い物をしていた心実は、振り返りもせず「それ、あんたの分だから食べていいよ」と告げた。
「あたしの?」
「そう」
「琢ちゃんのは?」
「琢はもう食べた」
「お姉ちゃんのは?」
「もう食べた」
「トワさんは?」
「惣一郎は甘い物食べない」
「このケーキどうしたの?」
確かに嫌いではないし、あれば喜んで食べるのだが、甘い物を見ただけで妙にテンションが上がるだとか、無性に食べたくなる時があるという事はない。
が。
「あっ、ケーキだ」
期末テスト前日。帰宅した藍子が目にしたのはイチゴのショートケーキ。
食卓の上に並べられた晩ご飯と一緒に、イチゴのショートケーキが置かれている。
それを見つめていた藍子に、キッチンで洗い物をしていた心実は、振り返りもせず「それ、あんたの分だから食べていいよ」と告げた。
「あたしの?」
「そう」
「琢ちゃんのは?」
「琢はもう食べた」
「お姉ちゃんのは?」
「もう食べた」
「トワさんは?」
「惣一郎は甘い物食べない」
「このケーキどうしたの?」