藤堂さん家の複雑な家庭の事情
2日目 夕方
補習から帰ってきた藍子は、家の前に停まってる車を見て、トワが来ている事が分かっていた。
だからリビングに、心実と話すトワの姿があっても驚く事はなく、いつもと変わらない口調で「トワさん、いらっしゃい」と挨拶をした。
ただ、ソファの上に翡翠のスーツが数着置かれてるのを見つけた時には少々驚いた。
そこに置かれてる理由が、トワが取りに来たからだと分かったから驚いた。
これはつまり。
「お兄ちゃん、今日も帰ってこないの?」
ここ2日、一度も家に帰ってきていない兄が今日も帰ってこないという事になる。
藍子の問いに、トワは少し躊躇うような表情を作り、「あー、うん」と返事をすると、様子を窺《うかが》うようにチラリと心実に視線を向ける。
それは、ちょうど今の今まで心実としていた翡翠の話題を、出来ればしたくないという思いからの行動で、トワ本人としては他意はなかった。
翡翠からトワに、家からスーツを取ってきて欲しいというメールが来たのは午前中の事。
言われるまま取りに来たのはよかったが、当然心実に理由を聞かれた。
だからリビングに、心実と話すトワの姿があっても驚く事はなく、いつもと変わらない口調で「トワさん、いらっしゃい」と挨拶をした。
ただ、ソファの上に翡翠のスーツが数着置かれてるのを見つけた時には少々驚いた。
そこに置かれてる理由が、トワが取りに来たからだと分かったから驚いた。
これはつまり。
「お兄ちゃん、今日も帰ってこないの?」
ここ2日、一度も家に帰ってきていない兄が今日も帰ってこないという事になる。
藍子の問いに、トワは少し躊躇うような表情を作り、「あー、うん」と返事をすると、様子を窺《うかが》うようにチラリと心実に視線を向ける。
それは、ちょうど今の今まで心実としていた翡翠の話題を、出来ればしたくないという思いからの行動で、トワ本人としては他意はなかった。
翡翠からトワに、家からスーツを取ってきて欲しいというメールが来たのは午前中の事。
言われるまま取りに来たのはよかったが、当然心実に理由を聞かれた。