藤堂さん家の複雑な家庭の事情

家族との関係

4つ年上の兄は中学に入った頃から分かりやすくグレ始めた。


元々そういう素質はあった。


小学生の頃から問題児ではあった。


学校の窓ガラスを割っただの、喧嘩をして相手に大怪我をさせただのと、素行に関しての様々な理由で父親と母親がしょっちゅう学校に呼び出されてた。


母親は明らかに兄に「手に余る」という態度で接していたし、父親は殆ど見放してる状態に思えた。


今にして思えば父親は見放してるというよりも、どうすればいいのか分からなかっただけのかもしれない。


どうすればいいのか分からないから、何もしなかっただけなのかもしれない。


でもそれが結果的に「見放す」という事と同じ意味を持った。


中学に入ってから兄は余り家に帰ってこなくなった。


帰ってきてたのかもしれないけど、それは深夜や朝方で、あたしが会う事は殆どなくなった。


中学を卒業する頃には、本当に殆ど家に帰ってこなくなって、たまに家の中で会っても話をするどころか目を合わせる事もなかった。


会う度に兄の髪の色は違った。


香水の匂いや服のセンスも違った。
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