藤堂さん家の複雑な家庭の事情
藍子の変則的な一日
可愛げが求められる朝
雲ひとつない青空が広がる8月の平日の朝。
朝食が終わった我が家のリビングには、三番目に多い光景があった。
琢ちゃんはソファに座って録画してあったアニメの観賞。
お兄ちゃんは食卓で珈琲片手に前日のお店の売上の計算。
キッチンの流しの前ではお姉ちゃんが朝食で使った食器を洗ってる。
そしてそのお姉ちゃんの隣にはトワさんがいて、洗ったばかりの食器を拭いて棚に片付けていく。
そんな中、あたしは琢ちゃんの隣に座って、お兄ちゃんが売り上げ計算を終わらせるのをおとなしく待ってる。
テレビ画面を見るよりもお兄ちゃんの様子を窺う方が多い。
リビングの時計を見るともうすぐ9時半になろうかとしてる。
時間がないから早くお兄ちゃんに話し掛けたいけど、計算してる時に邪魔をしたら怒るから終わるのを待ってるしかない。
それでもやっぱりどうしてもソワソワしちゃって――。
「何だ、藍子」
帳簿のノートから目を離さずにされたお兄ちゃんからの言葉に、ソファから即座に離れて食卓に近付いた。
「終わった? 計算終わった?」
「まだ。お前の視線が気になって集中出来ねえ」
「じゃあ、先にあたしの用事言っていい?」
朝食が終わった我が家のリビングには、三番目に多い光景があった。
琢ちゃんはソファに座って録画してあったアニメの観賞。
お兄ちゃんは食卓で珈琲片手に前日のお店の売上の計算。
キッチンの流しの前ではお姉ちゃんが朝食で使った食器を洗ってる。
そしてそのお姉ちゃんの隣にはトワさんがいて、洗ったばかりの食器を拭いて棚に片付けていく。
そんな中、あたしは琢ちゃんの隣に座って、お兄ちゃんが売り上げ計算を終わらせるのをおとなしく待ってる。
テレビ画面を見るよりもお兄ちゃんの様子を窺う方が多い。
リビングの時計を見るともうすぐ9時半になろうかとしてる。
時間がないから早くお兄ちゃんに話し掛けたいけど、計算してる時に邪魔をしたら怒るから終わるのを待ってるしかない。
それでもやっぱりどうしてもソワソワしちゃって――。
「何だ、藍子」
帳簿のノートから目を離さずにされたお兄ちゃんからの言葉に、ソファから即座に離れて食卓に近付いた。
「終わった? 計算終わった?」
「まだ。お前の視線が気になって集中出来ねえ」
「じゃあ、先にあたしの用事言っていい?」