君と奏でる、永遠のメロディー
切り替えて、わたし達は思う存分歌った。

2時間くらい経った頃だった。

「千歳さ、やっぱ歌上手いね」

彼が言う。
何回目だろうか。

「歌手にでもなったら?」

からかっているつもりだろうか。

「変な冗談やめてくれない?」

「いやいやそんな。冗談なんかじゃないよ」

「大体さ、どんだけ厳しい世界か分かってるの?」

「分かってるよ…」

多分、いや、絶対に分かっていない。

「とにかく、そんな夢物語はやめて。とりあえず、歌おう」

その時はそう言ったけど、後から考えてみれば、彼のこの一言がわたしの人生を変えたんだろうなと思う。
< 57 / 81 >

この作品をシェア

pagetop