トシノサ恋 ~永久に…君に~
新井くんが勢いよく私を抱きしめた。

「……可愛い……

マジで可愛すぎる…っ。」

「……新井くん?」

「……誕生日、どこに行きたい?」

え、どこに……?

「…じゃあ、またラーメン食べたいな。」

私がそう言うと彼は私の頭を

優しく撫でながら

「アハハ…ッ!…了解っ!」

優しく笑った。

誰かの温もりが、こんなに心地よいなんて

初めて知った。

ギュッ……

私がまた彼の背中に力を入れると

「…そんな風に抱きつかれたら…

もう離したくなくなる…。」

彼が小さな声で呟いたのが聞こえた。

…もし今…

私が離さないでって言ったら…

どうなるんだろう……。

言ったら…きっと…

私にその覚悟があるんだろうか……。

私は、ゆっくりと瞼を閉じた。

「…えっっ!……紗和……?!」

私の後ろから、悲鳴に近い

女の人の声が聞こえた。

えっ……?

私が、その声の方を振り向くと

そこには、顔面蒼白になって

驚いた表情の日向子が

立ち尽くしていた。
< 140 / 210 >

この作品をシェア

pagetop