トシノサ恋 ~永久に…君に~
「…川津さん…」

私は、訳が分からず…

彼女の隣に座って

ただ彼女を見つめていた。

「……私のせいなんです…っっ」

「…っ?」

「…あの写真と手紙…私なんです…」

「………………」

え…川津さんが………っ?!

あまりの事に言葉が出なくなった。

「…私が出しました…」

彼女は、泣きながらポツリポツリと

話し出した。

「…私…

新井くんがずっと好きだった…。

でも、彼はずっと、奥平先生の事…。」

「……っ…川津さん」

そうだ…彼女は

新井くんが好きだった…

ずっと彼の事を想って…。

「…奥平先生と新井くんが

一緒にいるのが嫌だった。

それに奥平先生も新井くんの事を

好きだって知ったら…私…

先生が許せなくて…

どうにかなりそうで…

いなくなればいいって思った。」

「…川津さん…」

そうか私…

彼女の事、すごく傷つけてたんだ。

いい年して…

しかも教師なのに…

自分の事しか見えてなかった…。

私の気持ちが…彼女を追い詰めた…。

私が、新井くんを

好きになってしまったから…。

「だから私…

先生が学校辞めればいいって…

そう思ってあんな写真を…

でも…まさか…

新井くんが辞めるなんて…

そんな事、全然考えてなくて…

…何で…?って…。

私のせいで…

取り返しがつかない事に…

今になって…

こんな事を言うなんて

本当、バカだけど…

…もう、どうしたらいいのか

わからなくて……。

…お願い、助けて…」

最後は言葉にならずに彼女は

声を上げて泣いた。

いつかの私の様に泣き続けた…。

私は、彼女の肩を抱き寄せたまま

彼女の消え入るような謝罪の言葉を

ずっと聞いていた。

「…ごめんなさい…

新井くん…ごめん…なさい…

私…どうしたら…いい…?

…先生…ごめん…。」

「ちがう…

川津さんは悪くないから…

先生…川津さんの気持ち

全然、考えてなかったね。

大丈夫…私がちゃんとするから…

新井くんが学校に

戻れるようにするから…

大丈夫だから…。」

そう言って川津さんの背中を

ポンポン…と軽く叩いた。
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