ホテル御曹司が甘くてイジワルです

三木さんが私を快く思ってないのは表情や態度からひしひしと伝わってくる。
彼女にわざわざ送ってもらうのは心苦しいし正直気まずい。

「では、下のエントランスまで」

私の背中を押すようにして歩き出す三木さん。
きっと清瀬さんのいないところで私に言いたいことがあるんだろうと察して頷いた。

自分が送ると言う清瀬さんを押しとどめ、「忙しいのにありがとうございます」とお礼を言って部屋を出た。

上品で重厚な両開きのドアが閉まった途端、三木さんの視線がすっとするどくなる。

「夏目さん」

冷たい声で名前を呼ばれ、思わずごくりと息をのむ。

「副社長の気まぐれに浮かれているあなたにこんなことを申し上げるのは失礼かもしれませんが、あなたと副社長は住む世界が違いますから。勘違いなさらないように」
「勘違いなんて……!」

見下すような言葉に、思わずむきになって言い返そうとしてしまった。顔を赤くした私を見て、三木さんが冷笑する。

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