冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
『約束するよ、俺、大事にする。早織のこと、絶対大事にするよ』

『もう十分されてるよ』

『もっとするよ』


くっついた身体から、了の鼓動が伝わってきた。

柔らかくて甘いキスを、何度もした。




パーティーの当日は、真紀の前で久々に『ソレイユの社長』と『Selfishの副編集長』を演じる白々しさに内心で笑い、子供じみた共犯意識にふわふわ浮かれて過ごした。

日付が変わる直前、バーで了と落ち合い、はちきれそうな期待と興奮を押し隠して一杯飲んで、部屋へ上がった。

了は服をすべて脱いでも了のままで、優しくて朗らかで、私のことをなによりも愛しく思っているのだと、手で指で、唇で、舌で、私の全身に覚え込ませた。

真っ白なシーツをしわくちゃにして、汗で汚す背徳感。

なめらかな了の肌と、塩辛いキスと、熱い吐息。

一年越しの了の想いを、もしかして受け止めきれないんじゃないかという不安もあった。そんなものはすぐにどこかへ飛んでいき、ふたりでひたすら、長い間すぐそばにあったのに、触れずにいた素肌を探りあった。


『俺ね、ちょっと今月忙しくて、会えないかも』


明け方近くなって、お互いひとしきり昂ぶりを放出し、落ち着いたところで、了が言った。

了の温かい腕の中で、私は『そうなの?』とがっかりした。


『残念そうな声出さないでよ、離したくなくなる』

『離す必要なんてないのよ、少なくともあと数時間は』


向こうの首に腕を絡め、喉にキスをする。了は小さく呻き、こらえきれなくなったみたいに、熱っぽいキスをしながら私を抱きしめた。




実際、彼の言ったとおり、その月はその後会えなかった。

一カ月後、私は自分の妊娠を知った。



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