冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
「ちなみに聞くけど、この写真の場所は、この子のマンション?」


急に話を戻したせいか、了が沈黙した。


『どうしたの、平気なふりして、実は内心穏やかじゃない感じ?』

「あなたがどんなポカをしたのか知っておきたいの!」

『冗談だよ。撮影に顔出したついでに送り届けたの。見切れてるけどマネージャーも一緒だよ。まさかこういう形で切り込まれると思ってなくて、油断した』

「つけられてたってことね」

『だろうね。そこまでして俺を落としてどうするんだろ』


まったくだ。私たちの想像しているとおり、了への恨みからくる行動だとしたら、たいした執念だ。こんなことをしたって、了とのお見合いが復活するわけでも……。


「あれっ……」


ふとなにかが頭をよぎった。了が『どうしたの?』と不思議そうに言う。ひらめいた気がしたものは、姿もわからないうちにどこかへ消えてしまった。


「ごめん、なんでもない。じゃあ土曜ね」

『寝室、みんな一緒でいいよね?』

「恵の気配が気になるなら、私と恵は別の部屋で寝るわよ」

『逆だよ、俺がいたら恵がいやがるかなって』


気弱なことを言い出すから笑った。


「大丈夫だと思うけど、まずはやってみましょ」

『俺、めちゃくちゃたのしみなんだよ、わかる?』


わかるわよ、と弾んだ声に同意を返し、おやすみを言って通話を終えた。画素の粗い了の写真を、もう一度眺める。スーツ姿で、口元が少し笑っている。

ねえこの人、わりとすてきじゃない?

だれかにそう自慢したくなった。

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