その花が永遠に咲き続けますように
姉弟⁉︎ と、今度は私と永君の声が重なる。


「え、だ、だって名字違うし……」

「あはは。先生な、実は婿養子なんだ」

「ふふふ。私も、アーティスト時代にアメリカで結婚してるからもう本名はキリシマではないんだけどね」


そう言われると、何となく雰囲気というか笑い方が似ている……ような気がしなくもない。

でも藤先生っていつも髪ボサボサだし、前髪長いし、分厚い眼鏡を掛けててるし、キリシマミツキのような美形には見えない……いや、こうして近距離でよく見ると、実は結構カッコいいんじゎ……って、今重要なのはそこではなく。


ーー私今、rowdyと同じ空間にいる。


憧れのrowdyと……。


ちら、と彼等を盗み見るも、緊張が凄すぎて直視出来ない。ちら、と見ては視線を逸らし、またちらっと見て……の繰り返し。


そんな風に私がもじもじしていることに気付いたのか、キリシマさんがrowdyのメンバー達に、英語で呼び掛け、手招きする。


すると五人のメンバー達がぞろぞろとこちらへやって来て、私の心臓は破裂寸前だ。


そして、キリシマさんが英語で何か言うと、メンバー達が私と永君の前に立ち、なんと握手をしてくれた。

感動しすぎて失神しそうだった。


ベースのキャルビン、ドラムのバリー、キーボードのアリスターが笑顔で私と手を握ってくれている。


…….ギターボーカルのレイモンドだけは、私達と握手はせずに、ずっと壁際に背を預けて立っていた。

でもレイは、ファンにも誰にも媚を売らない、日本で言う塩対応で有名。だから握手をしないことは特に気にしなかった。


だけど私は、実はrowdyのメンバーの中でレイに一番憧れている。

クールでなかなか笑顔を見せないところもカッコいいと思う。
何より、ギターのテクニックが凄い。
私は、レイに憧れて……自分もギターが弾きたいと思った。他の楽器じゃなくて、ギターを弾きたいと。
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