その花が永遠に咲き続けますように
「文化祭で、歌を歌うの。その練習をしてるの」


そう告げると、荻原さんが急に興奮気味に、身体を前のめりにして、


「えーっ! そうなんだ! カッコいいー!」


と言ってくる。



「一人で歌うのっ? 何を歌うのっ? メインステージに立つってこと? 何時から⁉︎ 見に行くよ!」

「えっと……一人ではないんだけど、色々歌う……。タイムテーブルはまだ調整中らしくて……」

へえぇ〜っ! と興味を持って聞いてくれる荻原さんとは対照的に、白山さんは無言で私達に背を向ける。


「ちょっと、白山さん」

荻原さんが声を掛けると、白山さんは足を止めてこちらを振り返るけれど、


「……歌とか、全然似合ってない。変なの」


棘のある言い方をしてくる。それに対してどう思ったりはしなかった。無視をされるより、そうやって反応してくれた方がよっぽどいい。



「ねえ。当日、相澤さんのステージ、一緒に見に行こうよ」

さっきまでの怒りはどこへやらと言わんばかりに、荻原さんが白山さんを誘うも、


「行かない。私、音楽とか興味ないしっ!」


そう言われてしまう。
白山さんは今度こそその場から去って行った。


「何かごめんね、相澤さん」

荻原さんが申し訳なさそうな顔をして私にそう話す。


「荻原さんが謝ることじゃないよ」

「私はステージ観に行くから! 頑張ってね!」

彼女の言葉に「ありがとう」と返し、私は自分の持ち場に戻った。
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