その花が永遠に咲き続けますように
そう、だったんだ……。荻原さんも音楽が好きだったなんて。そう言えば、文化祭で私が歌を歌うって言った時、彼女は結構食いついてくれたっけ。単純に物珍しくて食いついていただけなのだと思っていたけれど、もしかしたら彼女も音楽が好きだったからというのもあるかもしれない。


新、メンバー。予想もしていなかった単語に、ただ戸惑い、言葉を詰まらせることしか出来ない。


……でも、キーボードの音が入ってくれることはとても魅力的だと感じた。

ギターは私がこれから練習して覚えるとして、他の楽器の音が欲しいとも思う。洋さんが作ってくれたような打ち込みを用意するのももちろん手だけれど、個人的には出来れば打ち込みではなく、生の演奏を奏でたいと感じていたのだ。同じステージ上で永君が生で奏でていたギターの音が、とても心地よかったからかもしれない。


それにーー



「えーと、やっぱり駄目、かな?」

眉を下げ、不安そうな顔で荻原さんが私の顔を覗き込む。


「い、いや、そうじゃなくて……! その……」

「その……?」


「……私、あんまり上手く話せないけど……それでもいい……?」


人と関わるのがずっと怖かった。永君以外の人と話すのは、まだ少し怖い。またいつか裏切られたらって思ったら震えそうになる時もある。


だけど……


荻原さんは、いつも一人でいて敬遠されていた私に、どんな時も明るく話し掛けてくれた人で……



本当は心の中でずっと、この人と仲良くなれたらいいなって思ってたんだ……。
< 70 / 183 >

この作品をシェア

pagetop