珈琲プリンスと苦い恋の始まり
私にとって、桜は自分の代名詞みたいなもんだったから、あれを撮ろうと思った時も、最初はこんな風に自分の人生も咲き誇れたらいいな…と思ったんだ。


けれど、そう思えば思うほど、自分の名前が烏滸がましいと感じた。


私は人に愛されるどころか、人の死ばかりを見つけてる。

愛されるどころか失ってばかり。

そんな私が、生きてる意味もないと思いだした__。


泣きながら撮ったものがたまたまピントが合って、それを現像して見てたら祖母のことを思い出した。


父を亡くした私を大事にしてくれて、その腕で優しく抱きしめてくれた。


傷付いた私を愛して、守ってくれた。

その祖母に似てる…と思ったから『祖母』と言葉を添えた。


その写真と同じように、自分の目で見るもの全てに言葉を添えていこうと決めた。

下手くそでもいいから…と、どんどん撮り貯めていったんだ。


いつかは急に閉じてしまうかもしれない自分の両目が見て、その瞬間に思った言葉を添える。

それを後になって見てくれた人が心を満たされ、癒されたらそれでいいな…と思ってる。


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