珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「いいな、これ」


彼が肩揉みをしてる児童の写真を見て呟く。
私はそれを横目で確認して、うん…と言い、自分が子供の頃と同じだと思ったから写真に収めた…と話した。


「デイに来るお年寄りと子供達を見てると懐かしくなるの。私を大事にしてくれたお祖母ちゃんも同じようにいつもニコニコしてたな…と思って」


泣きそうになるのを我慢してると、彼は慰めるように髪の毛をさらっと撫でる。
そんな彼に笑みを浮かべて写真を入れ替え、二人でそれらを壁のフックに掛け直した。


このフレーム枠は、桜の木で出来てる。

以前、この家の庭にあった桜の木で作って貰う予定だと彼が私に教えてくれたのは、あの再開を果たした翌日のことだった____。

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「他にもコースターやトレイを作って貰う予定でいるんだ」


白川武斗さんに桜で作った名刺を見せられ、「此処にあった桜で出来てるよ」と言われた。

自慢そうに胸を張ってる彼を見つめ、もしかしてずっと行方を探してくれてたの?と聞いた。


「ずっとって訳じゃないんだけど、偶然分かってね」


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