珈琲プリンスと苦い恋の始まり
デジカメだから撮った画像は直ぐに見せれる。
だけど、どうしてこの人に……


「私がもしも断ったらどうするの?」


「そうだなぁ。また撮影を見せて欲しいとか言うかもな」


意地悪そうに微笑み、それは困るだろ?と訊き返してくる。こっちはその言葉にムッとして、嫌だなと思いながらも溜息を吐いた。


「……分かった。一杯だけ飲んで帰る。でも、撮った写真も見せる代わりに私のことを付け狙わないで」


付け狙うという言葉に彼が小さく笑う。
私はそれにもムッとして、「いい!?」と再度念を押した。


「OK。分かったよ」


片手を上げた彼は先に行くと言って車のロックを外した。
発信する前にウインドウを下げ、絶対に店に来るように…と言い残す。
こっちは渋々だけどそれに頷き返すと微笑み、「それじゃ店で待ってる」と言って走り出した。




「面倒くさい人」


走り去って行く車体を見つめながら呟いた。
ただのボランティアで職場に来てる人と、どうしてこんな場所で会ったりしたんだろう。


(でも…)


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