湖都子のポエム9

期待するな


もう会うことはないと思っていた
まさかの再会をした

あの時……
突然手の中にあったものが消え去った
崖から落とされた気分だった

期待するな
もう独りよがりなことはしない
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1年ぶりに会った湊は、あの頃のままの優しさ……

だけど、あの時のことを今も忘れてはいない。

真緒と湊と3人で遊んだ1年前のゴールデンウィーク。映画を見終わって、トイレに行った時……
湊の知り合い?
「湊になれなれしくしないでよ。お前なんか、何の役にも立ってないくせにっ!身の程を知れっ……」
「みーくんは、友達だから……」
「湊は、友達なんて思ってない。湊の友達の妹だからって、ずーずーしいんだよ。」
真緒が一緒だから、遊んでくれてるだけ……友達だと思って、1人で浮かれてバカみたい……

そして、この日から湊と会わなくなった。湊のことも忘れていたのに、まさかの再会……一緒に遊んで楽しかった。また昔のように……

そんな私の前に現れたのは、またあの人だった。学校帰りに声をかけられた。
「兄の次は、湊の妹を使うとか……」
「美月ちゃんは、高校でできた友達で……」
「ふざけたこと言ってんな。そんな言葉信じるやつなんかいない。」
「妹にも近づくな」
腹がたつ。なんでそんなこと言われなきゃいけないの?
「なんでそんなこと言われなきゃいけないんですか?」
「湊に近づこうとするからだろーが……」
「美月ちゃんと友達なだけなのに……」
「信じられるか。いいか、2人に近づくなよ。」
返事も聞かずに去って行った。

一緒に話を聞いていた彩花……
「なんか大変なことになってん……ね」
「うん……」
「美月ちゃんは友達だけど、距離をおいたほうがいいのかもしれないね……」
2年生になって、美月ちゃんとクラスが変わってしまっていた。だから、このまま距離を置くことにした。

そこに、美月ちゃんから電話がきた。
「またお兄ちゃんが皆で遊ぼうって言ってるんだけど、いつなら大丈夫かな?」
「ごめん……私はやめておくよ。」
「え、なんで?」
「みんなで遊んで……」
そこで、電話を切った。

「美月ちゃん、タイミング悪いね……」
「彩花は、私のことは気にしないでみんなで遊んで……ね」
「美月ちゃんと湊さんと遊んでたら、さっきの人が怖いよ……さっきの話、私にも言ってたんだと思うし……私は奈緖と遊んでるのが、一番楽しいよ」
「私も……」

美月と湊の知らないところで、奈緖が離れていく。


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